適用上の注意点

前処理(洗浄)

 イオン窒化の場合、昇温時及び処理時にグロー放電による表面のクリーニング作用が行われるが、オイル等が製品についていると、その分だけグロー放電の雰囲気を乱し、放電が不安定となり、エージング時間が長くなるし、又オイルのカーボンがイオン化し、予期しない浸炭がなされることがある。そのためオイルが取れる程度の洗浄が必要である。

窒化による寸法変化

 塩浴窒化あるいは、ガス窒化と同様、イオン窒化においても変態点を越えない処理法なので、寸法変化は非常に少ないが、常に計算に入れておかなければならない。これは侵入した窒素により、材料の種類及び窒化方法によって少し異なる。500℃窒化処理の寸法増加量は、一般窒化と同様次の式によって、大体知ることが出来る。

 500℃処理の寸法増加(片面)=窒化層の深さ×(0.03~0.04)

穴の中及びスリット内の窒化

 グロー放電による窒化では、穴の中及びスリット内部まで窒化することができる。4mm程度から15mm位までの穴径及びGapでは、グロー放電のホロー、カソート現象といって対向面のある場合、互いにグローを高め合い、その内部に強いグローを生じさせ、平面の窒化より若干深く窒化することができる。この現象はGapとガス圧とに深い相対関係があり、Gapに合ったガス圧を選定することによって、最高のこの効果を期待することができ、狭くするほど効果は大きいが、0.8mm程度以下となると、逆にグロー放電が中に入りにくくなり、窒化が行われなくなる。以上の様なスリット部又は穴の中の窒化等は、アルミの押出し金型部品等に使用され成果をあげている。